前例もなく子どもがいる女性に東京への配転命令

■解決年月:2015年6月 ■職種等:営業事務
■勤続年数:12年6ヶ月
  ■女

現地採用(福岡支店)の事務職限定の正社員。東京本社のベテランの事務職員の退職によりその業務を担当させること、福岡支店の事務職の人員が余剰という理由で東京本社への配転を通知された。組合員は夫と14歳の子どもという家族構成で単身赴任も含め配転できない状況であった。

事務職正社員の労働契約は勤務地限定契約ではなかったが、実質的に既婚女性の住居変更を伴う転勤の実績はなく、全国規模で転勤しているのは男性社員ばかりという実態であった。

育児介護休業法16条(労働者の配置に関する配慮)、労働契約法3条(仕事と生活と生活の調和に配慮した労働契約)の主旨に反する配転であり、組合員が転勤に応じられないことを知りながら発せられた不当な配転命令であるという主張の元に配転命令の撤回を申し入れた。

使用者は、勤務地限定契約ではなく、配転に男女の別はないと主張し本配転命令は正当と主張した。組合員は福岡支店勤務のまま東京本社の業務を可能にする施策等を提案し、組合も、育児介護の責任を担っているのは実質的に女性であり、社内でも昇進における男女差別、育児休業取得率の男女差(男性の取得実績なし)の存在、女性社員の全国転勤について労使間の合意形成はなかったとして撤回を粘り強く要求したが、使用者は配転命令を撤回しなかった。

組合員が配転することは不可能で裁判闘争を希望しなかったため、会社都合退職と解決金の支払いで合意した。