労働組合ってなに?

そもそも使用者と労働者のパワーバランスは圧倒的に使用者有利! 

使用者は、経営権、人事裁量権、賃金決定権など様々な権限を持っています。この権限について、使用者が1つでも横暴な振る舞いを行うと、たちまち労働者は参ってしまう事態が発生します。

例えば、会社の代表者数名に囲まれた個人面談などで、「経営不振だから、来月から給料を下げさせてもらうね。」「あなたは能力不足だから、ここに異動してくれ。」「来月からこの勤務時間については残業代をカットする。」など言われた際に、はたして使用者に対し1人で反論して、労働条件の維持が出来るでしょうか?

生活不安や、目を付けられたくない、という不安から多くの労働者が泣き寝入りしているのが、私たちの経験から感じている実態です。皆さまもご経験はございませんか?

 そんな労使のパワーバランスを解消するのが労働組合! 

労働組合は、労働者の任意で作られる連帯組織であり、会社や国が作る組織ではありません。同じ職場で働く仲間同士で団結して、契約交渉の維持・賃上げ・雇用安定・労働環境の向上などの共通目標達成を目的とする組織が労働組合です。最も一般的な目的は、「組合員の雇用を維持し改善すること」となります。また、労働組合の活動については、日本国憲法、労働組合法でその権利が保護されています。

日本国憲法
第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。(生存権の保障)
第27条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。
①賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
②児童は、これを酷使してはならない。
第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

 

上記28条に規定されている労働者の権利である、団結権、団体交渉権、団体行動権の3つの労働者の権利のことを「労働三権(労働基本権)」といいます。この労働三権をちゃんと労働者が行使できるようにすることを目的として、「労働組合法」が制定されています。

労働組合法

第1条(目的)(要約)

① 労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること

② 労働者が団体交渉(労働組合と使用者との交渉)するための代表者を労働者自らが選出すること、その他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること

③ 労働協約(使用者と労働組合の間の約束事項)を締結するための団体交渉をすること等を助成すること

 

労働組合法では使用者からの様々な攻撃や嫌がらせ(不当労働行為)を阻止するための条文もあります。

労働組合法 第7条
使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。

① 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合の正当な行為をしたこと他を理由に解雇やその他不利益な取扱をすること。労働組合に加入しないこと、労働組合から脱退することを雇用条件にすること。

② 労働組合から申し込まれた団体交渉の拒否(団交拒否、不誠実交渉)

③ 労働組合の結成や運営を支配し介入すること。労働組合の運営に要する費用を援助すること。(支配介入)

④ 上記1号~3号違反につき労働委員会に対し不当労働行為救済の申立他をしたことを理由に解雇やその他不利益な取扱いをすること。

 

上記に該当する行為を使用者が行った場合、労働組合は各県に設置される「労働委員会」という行政機関に、「救済申し立て」をする資格を有しています。

また、労働組合の正当な活動による行為は刑事罰に問われないとする、法規定もあります。(刑事免責)

刑法35条
法令又は正当な業務による行為は、罰しない。
労働組合法第1条2
刑法第35条の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であって前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。但し、いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならない。

労働組合は、どのように目標を達成していくのか?

労働組合は前段で説明した「労働三権」を駆使して、組合の目標を達成していくことになります。

前段でも紹介した「団体交渉」を通じて、使用者と様々な問題を議題に自分達の労働環境向上、雇用の確保を目指していくのが基本となります。団体交渉で合意をに達すれば、組合と会社は労働協約を結びます。

しかし、団体交渉も相手があることなので、膠着する場合もあります。その膠着状態を打破するために、労働組合は会社門前でのアピール行動(団体行動権)、ストライキ権(同盟罷業)等用いて解決を目指す場合もあります。しかし、これはあくまでも交渉を尽くしてからとなります。

もし、ストライキとなり、会社に損害が出た場合でも正当な組合活動による損害について、使用者は組合に対して損害賠償請求することは出来ません。

労働組合法第8条(損害賠償)
使用者は、労働組合の同盟罷業(ストライキ)その他の正当な争議行為による損害を受けたこともって労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない。

 

交渉円滑化と、「知識不足」につけこまれないようにするため、会社との交渉における妥結権や交渉権は全てユニオンが持ちます。しかし、ユニオンが皆さんの意見を無視して会社と合意したりすることはありません。ユニオンは結成時から組合員の意向を尊重した解決に取り組んできています。