未払い残業代請求から過半数を組織

■解決年月:2005年11月 ■職種等:配送/正社員・パート・準社員
■勤続年数:1~14年 ■男性・女性

1日12時間ほどの長時間労働が慢性化していた。数年前から21,000円の定額残業代となっていたが、実際は1ヶ月100時間を超える残業があり、多額の不払い残業が発生していた。また、数年賃上げをしていないため、勤続年数でみると賃金の逆転現象も発生していた。さらに、人員不足が原因で年次有給休暇も取得できない実態にあった。これらの原因は社屋移転に伴う土地購入のための借入金が大きく影響していると判断された。
2人の労働相談を契機に12人が加入した。管理職がリードしたことによって、その後も順調に広がり20人が賛同した。と同時に、幸い親会社の労働組合関係者と親交があったので、不当労働行為の防止をしながら組織化をすすめた。組合加入通知時の加入者は25人、その後の拡大で社員70人弱のうち過半数を超える35人が加入し、分会を結成した。ところが会社は、管理職が加入していることを理由に労働組合を認めようとせず、実質団交を拒否した。抗議並びに行動開始宣言集会開催の決議等で会社に迫り、組合を認めさせると共に、要求実現に向け団交から三役交渉へコマを進めた。しかし、会社の借入金の支払が壁になり、要求は容易には前進しない事態となった。そこで抗議集会、非協力闘争(残業拒否)、ストライキなどの闘争方針を決定し、会社に上積み回答を迫った。
若干の要求の前進はあったものの過去の未払い残業の清算、今後の未払い残業是正のための上積みは、要求を大きく下回った。しかし、今後は利益の配分等についても労使協議の上決定することなど経営の透明化についての合意を取り付けた。また、今後の労働組合活動について、チェックオフ、事前協議制、内部告発者の保護などの労働協約を締結することができた。経営に影響力を持つ労働組合が誕生したことは高く評価できる。
しかし、賃金体系の是正など課題は山積しており、今後の粘り強い闘いが重要である。