月330時間の長時間残業と労働者への損害賠償請求

■解決年月:2012年8月 ■職種等:営業/正社員
■勤続年数:7年
 ■男性

建物の解体、産業廃棄物処理業。見積もりミスで発生した損失全額を賠償するよう会社から請求された。会社は、労働者の妻の勤務先まで電話をかけて会社に呼び出し、今後の給与から天引きで支払ってもらうと詰め寄った。

労働者が労働過程において会社に損害を発生させてしまった場合、会社に対する損害賠償義務が発生する場合もあるのは否定できない。しかし、賠償すべき範囲は、使用者側、労働者側の諸事情を総合考慮として決定され、損害全額に及ぶことは通常ない。

聞取りの結果、労働者に損害の全額を賠償しなければならないほどの過失はないと判断し、ユニオンに加入し、団体交渉で損害賠償請求の放棄を求めることとした。労働条件面では、労働者の同意を得ない一方的な賃金減額、違法な賃金控除、月330時間の長時間労働と残業代未払い等の違法行為が存在しており、これらの未払い賃金等請求を合わせて行うこととした。未払賃金請求の総額は労働者への損害賠償請求額を超える額となった。

団交を申し入れると、会社は団交に素直に応じないばかりか組合の誹謗中傷や組合員への嫌がらせも行ったため、春闘キャラバンでの抗議要請行動、労働委員会へ団交開催を求めるあっせんを申請したところ、ようやく、代理人弁護士を立てて団交に応じることとなった。

団交で、代理人弁護士は“のらりくらり”の対応を繰り返した結果、“ゼロ和解”(労使双方請求を放棄する)しか回答しなかったため決裂し、代理人を選任し労働審判を申し立てた。

労働審判でも、会社は初め譲歩しない姿勢であったが、3回目の審判で一定の解決金の支払いを回答したため調停が成立した。