労基署に相談したことで懲戒解雇され労働審判で解決
■解決年月:2013年5月 ■職種等:ウェブデザイナー/正社員
■勤続年数:4か月 ■男性
従業員4人のホームページ制作会社。試用期間3ヶ月を5ヶ月に延長され、4ヶ月経ったとき、「あと1ヶ月様子を見てだめならやめてもらう。これは解雇予告だ。」と通知された。労働者は労基署に相談し、労基署に行ったことを同僚に報告していた。
その7日後、社長に呼び出され「労基署に行くとはどういくことだ!?」と責められた後、即日付で懲戒解雇された。解雇理由は、代表に対する態度が悪く、他の社員に精神的ダメージを与えており、今後も社内の秩序を壊す可能性が高い、とされていた。解雇理由の具体的行為を尋ねても答えなかった。労働者は身に覚えのないことであった。
会社に就業規則はなく、雇用契約書にも懲戒事由の記載はなかった。使用者が労働者を懲戒するには、使用者が懲戒権を有していなければならない。具体的には、就業規則等で懲戒規定を適格に定めていなければ、懲戒権を有しているとは判断されない。会社に就業規則は存在しないので、会社が懲戒権を有していないのは明らかであり、本懲戒解雇は懲戒権及び解雇権の濫用である。
懲戒解雇の撤回及び謝罪、違法な解雇による損害に対する賠償、未払残業代の支払い等を要求して団交申し入れした。
会社は団体交渉に応じたが、一回目の団交で、組合及び組合員を侮辱する発言を繰り返すばかりで、話し合いにならなかったため団交は決裂した。
2回の抗議要請行動の後、労働審判を申し立てた。会社は第1回の審理で懲戒解雇はあっさり撤回し、試用期間満了の解雇を主張し、第2回審理に従業員を出頭させ証言させることになった。調停は困難かと思われたが、第2回審理で審判委員会から和解案が出され、双方受け入れたため、第3回審理で調停が成立した。調停条項には、会社が本懲戒解雇が違法・不当であることを認め、本懲戒解雇の中で組合員の名誉を傷つけたことについて謝罪の意を表す条項も盛り込まれた。