不利益変更反対の団交申し入れ直後に全員解雇!

■解決年月:2011年8月 ■職種等:清掃
■勤続年数:9年~3年 ■女性5名

ラブホテルのベッドメイク係。ホテル改修工事の休業に入る前、宿泊客数減を理由に、1名の人員削減、勤務シフトの人員減、残業手当等のカットを通知された。

給与体系は、1勤務(13時から24時間拘束、3食の食事休憩と深夜4時間の仮眠時間)あたり12,500円であった。仮眠時間中も、客が帰ればすぐ部屋の掃除をしなければならず、食べ物の注文等にも対応しなければならないので、寝られない日のほうが多かった。そのため、最低賃金違反、残業深夜労働手当未払いの疑いが強かった。

5名が組合に加入し、一方的な不利益変更をしないこと、その他の違法行為の是正等を要求した。ところが、団交申し入れ書到達の3日後、非組合員を含む全従業員に即日解雇が通知された。後日郵送された文書には、解雇理由として、改修工事中に更に修理の必要な個所が見つかり、営業再開の目途が立たなくなった、と書かれていた。

組合は、抗議並びに再度の団交申し入れを行ったものの、使用者の誠実交渉義務の履行は到底期待できなかったため、法廷闘争の方針を確認した。裁判の打ち合わせで労働時間と賃金の関係を検証すると、最低賃金違反による差額一人120万円を超える未払い賃金の存在が明らかになった。

組合員らは早期解決を第一に希望していた。解雇問題は仮処分での丁寧な審理を望むところであるが、賃金支払い請求は仮処分になじまない。では、労働審判はどうかと言えば、解雇と未払い賃金と争点が二つ、申立人が5人では複雑になり過ぎ無理がある。結論は、解雇問題は仮処分で、未払賃金問題は労働審判の二本立てとすることを決定した。

2回目の労働審判で、解雇問題と未払賃金問題を包括して解決する和解案が出され、十分納得のいく水準で和解した。