ビジネスホテルのフロント係。1回勤務が24時間拘束、1回勤務につき2万円、年間の勤務回数は120回という勤務シフト

■解決年月:2006年9月 ■職種等:フロント係/正社員
■勤続年数:3年 ■女性

会社は、飲食店、賃貸マンション、ホテル等を経営。組合員はビジネスホテルのフロント係で勤続3年の30歳。1回勤務が24時間拘束(休憩・仮眠は7時間)の勤務シフトで、年間の勤務回数は120回、1回勤務につき2万円支払いという賃金体系である。
突然、会社は組合員に退職勧奨を行った。理由は事実無根の内容であった。そのため組合員は、労基署に相談した。そこで様々な労基法違反が存在することが分かった。具体的には、(1)就業規則、36協定、雇用契約書が存在しない、(2)時間外割増手当及び深夜手当未払いの疑いがある、(3)交通費が求人情報誌の掲示と異なる、(4)社会保険も未加入である。組合員は、法違反の是正を要求した。
しかし、会社は組合員の要求を拒否した上に、他の従業員に対し、組合員の要求が不当であるかのように「これでは会社が潰れる」と煽り、雇用不安をかきたてた。そこで同僚らは組合員に退職の要求を突きつけた。組合員は、同僚らの理解を得るため書面を作成し真意を説明、理解を求める行動を起こした。また、労基署に申告、ハローワーク及び社会保険事務所に指導を要請した。
組合員の各方面からの執拗な攻めと団交で会社が音を上げ、組合の要求を受け入れる姿勢に転じたことで、一気に解決した。この交渉の中で、就業規則の作成、未払い残業の改善、社会保険の加入などを実現することができた。