うつで休職後の職場復帰で退職勧奨され、交渉で解決
■解決年月:2013年9月 ■職種等:インストラクター/正社員
■勤続年数:6年6か月 ■女性
法人の会計ソフトや給与ソフトを現場のパソコンにダウンロードし、その後の問合せや苦情処理対応を行うインストラクター職で、いわゆる“外回り”の仕事。長時間労働や連続出張等が原因でうつ病を発症し約1年間休職していた。主治医による「出張と残業禁止」の条件付で復職したが、会社の規定は出張を移動距離200km以上と規定していたため、その範囲内の社外業務を命じられ、再び体調を崩し欠勤が続くこととなった。
会社は労働者に対し「外出、出張が出来ないならばうちの会社では働けない。退職後も健康保険の傷病手当金を継続受給できるから。」などと執拗に退職勧奨したため、労働者は精神的に追い込まれ退職願を提出した。復職可能の診断が出ている以上傷病手当金は受給できない。その後主治医を受診すると、主治医は、解雇として争いなさいとアドバイスしたため、労働者はユニオンに相談し、会社に退職願の返却を申し出たが、会社は応じなかった。
これを受け、「退職後も傷病手当金を受給できる」という会社のうそによって、労働者が誤って退職の判断をしたこと及び出張禁止の条件付であったにもかかわらず会社が社外勤務させたのは安全配慮義務違反であることを根拠に退職願の返却等を要求して団交を申し入れた。
会社は、退職強要はしていない、正当に提出された退職願であり自己都合退職手続きを取り消すことはない、という回答に終始したため平行線となった。
組合員は、うつ病を発症した責任を会社に認めさせるため訴訟の準備に入ったものの、体調が悪化し、裁判の打合せにも参加できない状況が続き、訴訟は断念することとなった。同時に、労基署にうつ病の労災認定を申請していたが不認定となった。
会社と交渉決裂した後も、ユニオンは会社との協議の可能性を残していたため、組合員の提訴断念を判断したと同時に、再度会社とユニオンの協議に戻し、退職と解決金支払いの内容で和解した。