社長から時間外労働を請求しない旨の誓約書を書かされた

■解決年月:2017年8月 ■職種等:秘書 ■男性 ■契約社員 ■勤続4ヵ月等

組合員は、「社長秘書」の求人を見てE社に求職した。面接で、E社のオーナーであるF社の社長秘書もしてもらうと言われ了解した。F社社長は海外在住であったため深夜や早朝、メールで業務指示が来ることもあったが、業務用タブレットやPC、携帯電話を貸与され、いつでもどこでも対応するよう命じられた。そのため、帰宅後や休日も業務を強いられることになり、月の残業時間が最長170時間超となることもあり体調を崩し、契約期間の中途で自己都合退職した。基本給17万円のほか残業代は一切支払われていなかった。

ユニオンに加入し、未払い残業代の請求、及び、36協定締結なしの長時間労働と残業代不払い、安全配慮義務違反などの使用者の違法行為により、退職を選択せざるを得なかったことの損害賠償として、残余の契約期間(約1ヶ月)の賃金補償を要求して団体交渉を申し入れた。

団交で使用者は、業務用PC等の職場外での使用は組合員の方から要請したものであり、組合員が職場外での業務用PC使用については賃金請求を放棄する旨の「誓約書」を書いていたことを理由に労働時間と認めなかった。また、残余の契約期間の賃金補償についても理由がないとして拒否した。

「誓約書」は、実際は、E社社長から「例文」を提示され強制的に書かされたものだった。

しかし、使用者は、事業場内での残業については一定額を支払うと回答した。組合員が早期解決を優先したため、合意することとした。