試用期間の途中で雇止め

■解決年月:2016年10月 ■職種等:営業 ■勤続年数:4ヵ月 ■男性

組合員は、IT技術者分野の派遣会社の正社員営業職の求人募集に応募した。

採用面接では、IT業界の知識が不足していることを理由に、6ヶ月を試用期間の有期雇用契約とし知識を習得した後正社員登用するかどうか判断すると説明され了解した。

その後提示された雇用契約書は契約期間が3ヶ月となっており、その他の労働条件は面接で説明されたものと同一で、退職金有、定年65歳、更新の可能性有となっていた。

組合員は就労を開始したが、IT業界についての基礎教育もないため、自費で関連書籍を購入し帰宅後毎日勉強するなどの努力を続けていた。

ところが、3ヶ月契約の終り近くとなり直属の上司から、現段階で正社員登用するレベルに達していないとして契約を1ヶ月延長し、その間会社が設定した課題と評価基準を上回らなければ最後の契約となる、と告げられ、組合員は同意するほかなかった。

1ヶ月契約の終期に、評価基準に達しておらず職場内コミュニケーションが不足していることを理由に雇止めされた。

組合は、本ケースは、有期雇用契約であっても、正社員雇用を前提とする試用期間を有期雇用契約としているに過ぎないので、単なる雇止めではなく、実質的に正社員登用拒否の解雇であり、試用期間中途での解雇と判断した。

雇止め理由に、客観的な合理性と社会通念上の相当性はないと判断されたため、解雇撤回等を求めて団体交渉を申し入れた。団交で、会社は、解雇ではなく契約満了であると主張し、仮に解雇であるとしても解雇の正当な理由があると主張した。

組合は、会社として未経験者に対する基礎教育等を行っていないにもかかわらず能力不足を理由としていること、試用期間の中途で判断していること、解雇理由が事実でないことから解雇無効を主張したが、会社は解雇を撤回しなかった。会社が試用期間満了まで(2ケ月分)の賃金補償プラスアルファの解決金支払いを回答したので合意した。