気力を喪失した経営者が最後は解雇を通告

■解決年月:2009年10月 ■職種等:技術/正社員
■勤続年数:2年6ヶ月~18年 ■男性

突然、全員の賃金を一方的に減額した給与を支給した。説明を求めても「退職し新たな就職探しを行って欲しい」としか回答しなかった。そのため、全員が組合加入となった。
団交では、弁護士、税理士が同席し、賃金減額は撤回し、遡及払いを合意した。しかし、売上(業績)と経費のバランスを考え、会社存続を前提とした賃金減額を検討することになった。
ところが、会社代表者は一転して、社長辞任と従業員に経営権譲渡する旨を提案した。その後の団交では、経営権譲渡の協議を進めたが、社名変更し得意先は継承しないなど、「経営権の譲渡」と評価できる内容ではなく、合意は困難になった。そこで、会社は、全員に対し解雇通知した。
5人のうち2人は未払い残業相当分の解決金を受け入れたが、他の3人は労働審判を申立てた。
労働審判委員会の雰囲気は、解雇は違法という認識は一致していた。しかし、会社代表者が経営する気力を失っているため、職場復帰より退職を前提とした解決金の支払という解決が妥当ではないかとの提案を受け入れ、3回目で調停が成立した。