入社時に約束した労働条件が守られなかった

■解決年月:2016年9月 ■職種等:営業職 ■勤続年数:10ヵ月 ■男性 正社員

組合員は、清掃業等を営むB社が新規事業を開始するにあたり、その担当者としてB社代表者C氏に請われて入社した。

しかし、組合員の給料は約束を下回り、残業代も支給されず、社会保険、雇用保険も未加入の状態にあった。

そのため、組合員はユニオンと相談のうえ、労働条件の是正、改善に向けて会社代表者C氏と交渉し雇用契約書を締結した。

雇用契約書の労働条件は有期雇用が無期雇用になり、残業は申請制、社会保険、雇用保険加入など改善したが、雇用主はB社でなくA社(代表者はC氏)となった。

上記の雇用契約を締結した後、C氏は組合員に残業禁止、直行直帰禁止を指示し、賞与不支給、及び残業申請を拒否するようになった。

そこで、初めて、組合加入通知、団交申入れを行い未払残業代と賞与の支払い請求を行った。団交申入れの直後、A社代表者が権限のないD氏に交代した。

団交には代理人弁護士のみが出席し使用者は欠席した。代理人弁護士は、組合の質問に答えない、大声で威嚇する、組合員を侮辱するような発言をするなど不誠実な団交姿勢に終始したため、解決は不可能と判断し、A社の経営にも実質的権限を持つC氏の団交出席、B社に対し雇用関係の確認を求める団交申入れを行った。

しかし、C氏は団交に出席せず、代理人弁護士の姿勢も変わらなかった。

そのため、不誠実団交についての救済申立を検討していたところ、A社より退職前提の和解案が提示され、組合員が早期解決を優先し受け入れる姿勢を示したため、合意した。