採用条件の研修費を労働者が半分負担、生活できない賃金水準

■解決年月:2007年5月 ■職種等:マッサージ/契約社員
■勤続年数:6ヶ月 ■女性

求人誌の求人広告にタイでのマッサージ研修制度有りと謳われており、採用面接においても、タイのマッサージ研修を受けることが就労の前提となっていた。そして、その研修費用24万円は原則労働者負担、半額12万円を労働者が前払い、又は給与天引きで分割払いし、残り12万円は1年以上勤続すれば返済は免除という口頭の約束があった。
ところが、就労してみると、面接時に説明された月額賃金に満たない賃金体系となっており生活できる賃金水準でない、残業代未払、マネージャーのパワハラ等もあり、3名の労働者が6ヶ月目で退職を希望した。あと1名の労働者は研修費の返済確認書の同意をめぐって会社と対立しはずみで解雇に発展した。会社は翌月の賃金から研修費用の残額を差し押さえた。
研修費用は、就労の前提であり、仮に返済の合意があったとしても、労基法16条(賠償予定の禁止)に反することになり、その合意は無効であり労働者に返済義務はない。そのため、研修費用返還及び労基法違反(労働条件明示、未払い残業、給与からの一方的控除他)の是正、社会・雇用保険加入等を要求して組合加入通知をおこなった。 団交を重ねたが議論の積み上げができず、抗議行動とあわせ労働委員会にあっせんを申請した。研修費の返還等を合意して一括解決した。