団交申し入れ書を受け取り拒否!解雇か退職勧奨か

■解決年月:2010年8月 ■職種等:事務
■勤続年数:2年 ■女性

業績不振を理由に解雇を通知された。団交申し入れ書を郵送すると、開封の跡が見られるにもかかわらず“受け取り拒否”で返送されてきた。典型的な団交拒否である。そのため、福岡県労働委員会に団交開催のあっせんを申請した。

その後、会社は団交には応じたものの、“誠実団交”についての理解がなく、交渉権限ある者の出席もないため、建設的な協議にはならなかった。解雇を通知した際、「辞めてくれ」という言葉を使い、“解雇通知書”を用意していなかったがために、「解雇ではなく、退職勧奨に労働者が応じた」とも主張した。

そこで、組合は、交渉を弁護士などの代理人に依頼するように要求した。しかし、会社は迅速に対応せず、1ヶ月ほどしてようやく代理人弁護士を選任した。しかし、組合員は既に訴訟の準備に入っていたため、裁判所で争うことになった。

裁判所では、双方の主張を終え、原告及び被告証人の尋問を終了した時点で和解協議に移行した。被告会社は、一貫して合意退職を主張したが、裁判所は不当解雇の心証を示唆し、原告の意向に理解を示していた。しかし、被告会社は異常なほどの出し渋り(けち)で、和解協議は厳しい展開となった。裁判長の熱心かつ時には厳しい言葉での説得により被告会社がある程度の解決金を受け入れたため、早期解決を優先して、和解が成立した。

団交申し入れから解決まで10ヶ月という長い時間を要したが、これはひとえに会社の悪質な対応が原因している。労働組合法が定める、使用者の団交応諾義務、誠実交渉義務についての周知、理解の促進を更に進めなければならない。