取引先の差し入れを受け取ったら懲戒解雇?!

■解決年月:2010年7月 ■職種等:営業
■勤続年数:2年9ヶ月 ■男性

営業員に対し「取引先(包装資材の納入先)の商品(弁当や総菜)を無断で持ち出した」という理由で退職勧奨を行い、退職に同意しない場合は懲戒解雇する意思を示唆していた。労働者は、取引先従業員の善意の差し入れを受け取ったに過ぎず、無断で持ち出したという認識はなかった。

会社は、取引先従業員の聞き取り調査を根拠に労働者の不正行為と決めつけ、労働者の釈明は聞き入れなかった。この問題が表面化して、取引先会社は会社に対して当該労働者の出入り禁止を通知していた。

団交では、調書に記載された不正行為の事実について協議を進めたが、労使の主張は平行線をたどった。協議で明らかになったことは、取引先の商品管理、労務管理に大きな問題があること、会社の管理責任も明確になった。そこで会社は、退職勧奨は撤回したが、取引先の出入り禁止及び他県支店人員補充の必要性を理由にして他県支店への転勤命令を発令した。組合員に対する同僚社員の理解はあったものの、支援する体制にまでは至らないこと、組合員も転勤できない家庭事情があることから、、配転問題で争うことは困難と判断し、会社都合退職、退職金の配慮などで合意して退職した。