「雇用形態の不利益変更に同意しなければ解雇」は解雇権濫用

■解決年月:2015年6月 ■職種等:営業事務
■勤続年数:1年
  ■女

不動産会社の営業事務。組合員は、業績が悪いという理由で、雇用形態を、最低保証給なしの「フルコミッションの営業職」または「完全出来高制のアルバイト」へのどちらかに変更する、同意しなければ解雇する、と通知された。背景には、使用者は組合員に不動産情報開示サイトや情報紙等に掲載する「物件データ」の入力を命じ、厳しい「入力件数」の目標を課したが、組合員は入力業務と他の業務との兼ね合いから目標の件数まで到達できない日が多く、目標件数の未達を理由に強く叱責されることが続いていたことが影響したと思われる。後日発行された解雇理由書の解雇理由は、日時も特定せず過去の業務ミスを羅列したに過ぎず解雇権の濫用と思われた。

団体交渉でも使用者は、解雇理由や根拠となる組合員の行為について不正確な発言を繰り返し、議論がかみ合わなかった。その後、弁護士が代理人となり早期解決の申し入れがあったため、解雇撤回の上合意退職とすることと解決金の支払いで合意した。